多くの受験生が一次試験の勉強で一番時間をかけるであろう「財務・会計」。
長い時間をかけて勉強しないと得点に結びつかないことも多く、「難易度が高い…」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では中小企業診断士試験における財務・会計の概要と学ぶことのメリットをまとめました。
難易度が高いとされる財務・会計の概要
中小企業診断士を目指すと誰しもが悩まされる科目「財務・会計」。
普段から数字を扱う仕事をしている方ならともかく、多くの方は大学生(高校生?)までしか複雑な計算問題に触れる機会はありませんよね。
それに加え、「財務・会計」は範囲が広い中小企業診断士試験の中で最もウェイトが高い分野です。
出題側も財務会計の重要性を受験生に理解して欲しいのか、財務・会計の難易度は高めに設定されています。
一次試験の科目合格率をみても顕著に現れていますね。
↑オレンジ色が「財務・会計」の合格率 多くの年度で合格率下位にいるのがわかる
この科目は内容が難しくてわかりにくいだけでなく試験時間も60分と短いのが特徴です。
「暗記科目で90分とらなくていいから財務会計に時間をまわしてくれよ…」と私も受験生時代はこんな感想を抱いたものです。
時間をかけて考えればわかりそうな問題でも、
財務会計の焦りポイント
試験時間の短さから焦って点数がとれない
or
そもそも解く時間がない
なんてことが頻繁に起こる科目なので、かなり周到な準備が必要になります。
ちなみに金融機関に勤めている方や簿記を取得している方だと少し有利ですね。
普段聞いたこともない用語が飛び交う中で、貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)のイメージを持てるってだけで大きなリードですよ。
多くの受験生は貸借対照表と損益計算書のつながりどころか「売上総利益?営業利益?経常利益?純利益?なにが違うの!?」という状態からのスタートですからね…
WACCとかNPVなんてイメージできないどころじゃないでしょう…
財務・会計の知識は経営分析を行う上での基礎となる
なぜ出題側は多くの受験生が苦手とするこの科目を重要科目としているのでしょうか。
財務会計がわからなくても魅力的な内容のコンサルティングはできるかもしれません。
しかし、コンサルタントとして経営分析を行ったあとは誰に報告しますか?
中小企業が相手の場合多くは社長相手に報告することになります。
社長は日々意思決定を行っており、細かい部分一つ一つを確認して意思決定する余裕はありません。
そんな社長を納得させ分析して思考してたどり着いた提案を実行させるには数字を駆使してメリットがあることをアピールするしかありません。
数字が前提もガタガタ、つっこんで聞いてみると財務をよくわかっていない。
そんな提案は、いくら内容が良かったとしても聞いてはもらえないのです。
財務を理解するということは、ビジネスの基礎を理解するということと言っても過言じゃないです。
税理士や公認会計士のレベルになれと言っている訳じゃありません。
しかし、基礎がわからないのにコンサルティングなんてできるわけないですよね?
そう考えると「財務・会計」が重要科目とされていることに納得がいきますね。
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財務・会計を身に着けるための勉強方法
財務会計の心構え
少し前述しましたが、財務・会計は試験時間が短いです。
この科目で合格するためには、与えられた60分を最大限に使って得点を積み重ねる必要があります。
模擬試験や過去問を解いている際に、
「理解しているけど時間内に終わらないなぁ…」
なんて感じたことがある方もいると思います。
はっきり言います。
注意ポイント
それは理解が足りていません。
得点できないのならば、
「時間が足りない」or「全くわからない」のどっちでも同じです。
きっぱり諦めて次の問題に進める分「全くわからない」のほうがマシまであります。
中小企業診断士1次試験の財務・会計を理解しているというのは、問題を見た瞬間に計算を始められるレベルを指します。
そのために必要なのは勉強量です。
「何を当たり前のことを…」なんていう声が聞こえてきそうですが、財務・会計は非常に重要な科目+制限時間も短いので、他の科目に比べてたくさんの勉強量を必要とします。
理想で言えば1日1問は計算問題を解くべきですね。
私は全科目のテキストを1周したあとはほぼ毎日財務会計の問題を解いていました。
少なくても2日に1問は必ず解くようにしていました。
これをすることによって「問題を解きながらいろいろ考えてやっと解答を出す」ではなく「問題を見た瞬間に手が動き出す」になりました。
圧倒的に解くスピードがあがりますよ。
財務・会計の試験で解答をしっかり確認できるくらい余裕があったので、ケアレスミスも減らすことができ余裕の60点越えでした。
おすすめの勉強時間
ずばり「朝」です。
人によって朝型・夜型があると思いますが、試験が近づいてきたらぜひ朝型にシフトしていってほしいですね。
なぜなら、財務・会計は1日目の2科目です。
いつも夜にこの科目の勉強をしているから頭がまわらないなんてことは避けたいです。
暗記科目ならば頭が多少回らなくともどうにかなりますが、フル回転させる必要がある財務会計で本調子じゃないなんて事態は絶対避けなくてはなりません。
試験対策はなにも勉強だけではありません。
体調管理然り、生活リズムの管理も試験対策の1つです。
難易度が高いと言われている中小企業診断士に挑戦するならば当然把握しておくべき内容です。
勉強方法と必要な問題集
私は教材は同じものを最初から最後まで使って勉強することをおすすめしています。
ですが、財務・会計だけは問題集を追加してもいいと考えています。
その理由は、この科目は演習量がものをいうからです。
他の科目は答えがでてくる理由を意識して問題を解けていれば基本的にはOKです。
しかし、それだけでは実際の試験時に「問題を見た瞬間に手が動き出す」というレベルにはなれません。
このレベルになるには質の高い問題をたくさん解く必要があります。
ここで言う「質の高い」とは、実際の試験問題を意識した作り方がされた問題という意味です。
質の高い問題が多い問題集として有名なのは、
TACが出版している「中小企業診断士集中特訓財務・会計計算問題集 最速合格」です。
2,500円くらいの問題集なのですが、
これ1冊で十分すぎるくらい問題が載っています。
中小企業診断士試験のコーナーがある本屋さんならどこでも置いてあるくらい有名な問題集なので、本屋さんに寄るときにぜひのぞいてみてください。
また、たまに受験生の方から「財務会計はサブノートを作りましたか?」と質問を頂くことがありますがサブノートは不要です。
サブノートを作る暇があったら問題を1問でも多く解いてください。
財務会計はとにかく量をこなして身に着ける科目です。
終わりに
財務・会計は中小企業診断士になったら一生使う知識を得られる科目です。
むしろ、中小企業診断士になることを諦めたとしても「財務・会計」の知識は絶対に生きます。
範囲が広く大変な科目ですが、一番力を入れて勉強してもらいたいですね。
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