難易度が近いということで何かと比べられる「中小企業診断士」と「FP1級」。
どちらも取得することで仕事に役立ちますし、人事評価でも優位になりますので社会人なら取得しておきたい資格ですね。
「中小企業診断士」も「FP1級」も幅広い業界で役に立つ
銀行や信用金庫では「金融業務検定」という試験が推奨されており、入社後数年は「金融業務検定」取得のための勉強漬けになります。
しかし、この「金融業務検定」は金融業界の中でしか役にたたないことが多く、
ポイント
他業種への転職を考えた時に、それまでの勉強が評価されない可能性が高いです。
そのため、他業種でも評価される国家資格の「中小企業診断士」や「FP(ファイナンシャルプランナー)」を取得しておきたいと考えるようです。
また、これらの資格を取得し名刺に資格名を載せることで、顧客から信頼を勝ち取りやすくするといった狙いもあります。
中小企業診断士の概要・評判
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。
中小企業基本法では、中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント)として位置づけられています。
中小企業診断士協会HPより抜粋
FP(ファイナンシャルプランナー)の概要・評判
結婚する、家を建てる、子供を留学させる、老後は海外で過ごす…など、わたしたちの将来の夢や目標をかなえるためには、まず、実現までの計画をしっかり立てることが大切です。この人生設計が「ライフプラン」です。
そして、わたしたちの夢や目標に対して、総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法が「ファイナンシャル・プランニング」です。
これらの計画を立てるためには、金融、税制、不動産、住宅ローン、生命保険、年金制度などの幅広い知識が必要になります。これらの知識を備え、わたしたちの夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートするパートナー、いわば、「家計のホームドクター®」のような存在がファイナンシャル・プランナー(FP)です。
FPは、以下のような幅広いくらしとお金の相談にのり、総合的に生活設計を行っていきます。
日本FP協会HPより抜粋
上記のように定義されており、大雑把に言うと中小企業診断士は企業に対し助言するための資格で、
FP(ファイナンシャルプランナー)は個人に対し助言するための資格です。
どちらもお金が絡む仕事なので主に
ポイント
銀行員や信用金庫職員等の金融機関の人間に特に需要があります
難易度・合格率・勉強時間について
どちらも国家資格であり決して簡単には合格できない資格です。
どちらの資格を取得したいか明確に決まっていない場合は、勉強に費やせる時間や、得意な試験形式で選ぶことも考えるべきです。
ここでは中小企業診断士とFP1級(ファイナンシャルプランナー)の「試験形式」「合格率」「平均勉強時間」を調べました。
中小企業診断士のストレート合格率は約4%
試験形式
「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」「経済学・経済政策」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」 7科目の1次試験に通過後、
「中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ~Ⅳ」4科目の「筆記試験」と試験官2名と行う「口述試験」から構成される2次試験があります。
1次試験は択一形式なので消去法で対応できる問題も多くありますが、
注意ポイント
・2次試験は論述形式であるため正確な知識
・1次試験で覚えた知識を使いこなす能力
が必要になります。
また「口述試験」は、筆記試験で答えた内容を試験官に質問されるようなものですが、通過率は99%でありまず落ちることはありません。
(何も答えられないと落ちることもあるみたいです)
ストレート合格率という言葉に聞きなれないかもしれません。
中小企業診断士試験は一次試験と二次試験を一気に受からずとも、一次試験に受かれば二年間一次試験を免除され二次試験から受験できます。
そのため、一年間で一次試験と二次試験に受かることをストレート合格と呼んでいます。
中小企業診断士の合格率
1次試験
年度 | 申込者数(人) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
H22 | 21,309 | 15,922 | 2,533 | 15.9 |
H23 | 21,145 | 15,803 | 2,590 | 16.4 |
H24 | 20,210 | 14,981 | 3,519 | 23.5 |
H25 | 20,005 | 14,252 | 3,094 | 21.7 |
H26 | 19,538 | 13,805 | 3,207 | 23.2 |
2次試験
年度 | 申込者数(人) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
H22 | 4,896 | 4,736 | 925 | 19.5 |
H23 | 4,142 | 4,003 | 790 | 19.7 |
H24 | 5,032 | 4,878 | 1,220 | 25.0 |
H25 | 5,078 | 4,907 | 910 | 18.5 |
H26 | 5,058 | 4,885 | 1,185 | 24.3 |
合格率はこのようになっています。
1次試験合格率が約20%、2次試験合格率も約20%なので両方を
注意ポイント
ストレートで通過する最終合格率は約4%
ですね。
中小企業診断士の平均勉強時間は1300時間
国の調査によると「中小企業診断士」を取得するための
ポイント
平均勉強時間は1300時間
と言われています。
私は効率的な教材に巡り合えたので1000時間を切るくらいで合格できました。
受験する人の知識や事情もあるので1300時間は1つの目安にするのが良いでしょう。
FP1級(ファイナンシャルプランナー)の合格率は約10%
試験形式
FP1級(ファイナンシャルプランナー)は実技試験に合格することで取得することができます。
FP2級やFP3級は実技試験と学科試験の2科目がありましたが、
ポイント
FP1級は実技試験だけで取得できます。
学科もありますが、そちらの受験の有無は関係ありません。
しかしFP1級(ファイナンシャルプランナー)は受験資格があります。
その内容は以下のどれかを満たしていることです。
ポイント
・FP1級の学科試験に合格※期限有
・CFPを取得していること
・CFP6科目全てに合格していること※期限有
また、学科試験のほうにも受験資格があります。
ポイント
・FP2級に合格しており、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する
・5年間FP業務に従事しており実務経験がある
中小企業診断士と比べると色々条件がありますので、
条件を満たすのにも時間がかかるかもしれません。
FP(ファイナンシャルプランナー)の合格率
年度 | 合格率(%) |
2014年9月 | 11.56 |
2014年1月 | 12.19 |
2013年9月 | 8.99 |
2013年1月 | 15.30 |
2012年9月 | 9.93 |
2012年1月 | 12.86 |
公表されているデータだとこうなっています。平均合格率は10%強です。
中小企業診断士と大きく異なる点が、年に2回開催されるという点です。
年1回の中小企業診断士試験よりも少し気楽に受けられるかもしれませんね。
平均勉強時間は500~600時間
明確なデータは見当たりませんでしたが、調べてみると500~600時間程かかるという意見が多いです。
ですがこれはFP1級のみの勉強時間が500~600時間ということです。
FP1級の実技試験を受けるためには様々な条件があり、
その条件を満たすために更に時間がかかりますので、
実際は1000時間程かかるのではないでしょうか。
「中小企業診断士」「FP1級」資格取得者の年収
資格の難易度も気になる点ですが、年収も勉強のモチベーションになりますよね。
そこで2つの資格の平均年収を調べました。
中小企業診断士の年収は約780万円
このデータからはじき出される平均年収は780万円です。
独立した診断士と企業内診断士の両方が含まれたデータですので、上下の幅はけっこう広いですね。
FP(ファイナンシャルプランナー)の年収は400万円
FPの年収は400万円前後となっています。
しかしこれは3級~の年収です。3級は新入社員でも取得できることから少し低めに出ています。
1級だけならばもっと高い年収が見込めることは間違いありません。
中小企業診断士とFP(ファイナンシャルプランナー)の比較
中小企業診断士とFP1級(ファイナンシャルプランナー)の違いは理解できましたか?
中小企業診断士のほうが少し難易度が高いが給料も高く、FPのほうが少し難易度が低めで給料もそこそこの印象を受けますね。
あなたが明確になりたい姿が決まっていないならば、
どちらも試験範囲が広い試験ですので、得意な分野があればそちらの試験を選ぶことで勉強時間は格段に減らせます。
とにかく資格を取りたいというならば、得意分野を探して選択するのが良いでしょう。