世間から見た中小企業診断士の評価ってどれくらいなのでしょうか?
弁護士・税理士・宅建士のようによく名前を聞く士業ではありませんし、行政書士を題材にした「カバチタレ」や宅建士を題材にした「正直不動産」のようなマンガもない中小企業診断士。
これから勉強を始めようとするならば、世間からの評価や将来性は気になるところ。
本記事は中小企業診断士の評価と将来性についてまとめました。
中小企業診断士の評価
士業の中でも認知度が低く、どの程度の評価をされているか分かりにくい「中小企業診断士」。
サラリーマンになってから存在を知ったという人も多いのではないでしょうか。
世間からの評価は上昇傾向
日経新聞で調査した「新たに取得したい資格(ビジネスマンが対象)」で
ポイント
中小企業診断士が第1位
になったという記事が載っていました。
中小企業診断士の勉強を通して、ビジネスを進めていく上で必要な知識を幅広く勉強できますし、ビジネスマンとして必要とされるコミュニケーションスキルを磨くことができるので、中小企業診断士の勉強をしてきた人間としてはかなり納得がいく順位なのですが、認知度・評価はそれほど高くないのも事実です。
(MBA等と同じく学んだことは仕事全般に活かせるのに「中小企業」診断士という偏った名前になっているのも誤解を与える原因の一つかもしれません。)
15年程前には
注意ポイント
中小企業診断士の資格自体が廃止という噂
もあったようで、勉強してきた人はかなり焦ったそうです。
ベテランの中小企業診断士の方にお話を伺うと、
仕事で使っている名刺に、「中小企業診断士」という資格名を入れているのですが、
最近資格を知っている人は増えているような気がします。
以前は、名刺を見て反応してくれる人は、
・中小診断士の勉強をしたことがある人
・勉強をしようとしたことがある人
ぐらいでしたが、
最近では、「難しい資格を取得されているんですね」と声をかけられることが多くなって来ました。
中小企業診断士の勉強をしてきた私からすると、「やっと気づいてくれたのか」「今さら何を言っているんだ」という気持ちになることもありますが、とても嬉しくもあります。
というように世間からの認知度・評価の変化を感じているようです。
ちなみに
「中小企業診断士資格を保有している有名人は?」と聞かれて思いつく人はいますか?
現役の中小企業診断士でも中々答えが出てこない難問です。
有名どころは、
内閣府男女共同参画会議議員の「勝間和代」さんや、残念ながら若くして亡くなってしまった経済評論家の「金子哲雄」さんですね。
この2人が中小企業診断士を全面に押し出してテレビに出ていてくれたら、中小企業診断士の認知度や評価も少し変わっていたのかもしれません。
中小企業診断士を勉強する意味
中小企業診断士に関する質問で答えに困るのが、
ポイント
中小企業診断士になったら
何ができるんですか?
という質問です。
弁護士や検事、裁判官になるには司法試験に合格する必要がありますし、監査証明業務をするには公認会計士試験に合格する必要があります。
また、税務業務をするためには税理士試験に合格する必要があります。
中小企業診断士協会の定義によると「中小企業診断士」とは、
重要なポイント
中小企業の経営課題に対応するための
診断・助言を行う専門家
なのですが、
中小企業の経営課題に対応するための診断や助言は、中小企業診断士にならなくてもできるわけです。
「中小企業診断士」と名乗るには中小企業診断士試験に合格し、登録する必要があるので「名称独占資格」と言われます。
合格率が4%程度の難関国家資格で、合格するまでには最低でも1000時間の勉強が必要と言われる中小企業診断士ですが、
注意ポイント
中小企業診断士に合格しなくても中小企業診断士と全く同じことをすることができる
わけで、とても割に合わないと考える人がいてもおかしくありません。
ではなぜ、中小企業診断士資格が注目を浴びるようになってきたのか?
それは、勉強することに意味がある資格ということが認知されて来たからではないでしょうか。
極端な話を言えばたとえ合格しなくても、
ポイント
勉強したことを活かすことのできる資格試験
なのです。
これは、法定独占業務を持たない中小企業診断士ならではの強みと言えるかもしれません。
当然、日経の記事にあるように、中小企業診断士の資格としての認知度が上がっていることを考えれば、きちんと合格し、中小企業診断士ホルダーであること自体にメリットも出てきます。
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中小企業診断士の企業内での評価
上記でも触れた通り、中小企業診断士は取得しただけでは何かができるようになる資格ではありません。
しかし、中小企業診断士になるということは企業内での昇進を考えた場合非常にコストパフォーマンスが高い資格です。
なぜなら、中小企業診断士は管理職に必要な知識を有していることの証明だからです。
資格の難易度だけで言えば、「司法書士」「税理士」「公認会計士」等中小企業診断士よりも難しく、独占業務もある資格はたくさんあります。
ただ、それらはあくまで「プレーヤー」としての能力を高める資格。
中小企業診断士は「マネージャー」としての能力を証明できる資格なのです。
そのことから、企業内であなたの力を証明し、出世を狙って行く場合は「中小企業診断士」は非常にコスパが良く、他の資格では替えが聞かない唯一の資格です。
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中小企業診断士の将来性
難関国家資格といわれる「中小企業診断士」。
現役の中小企業診断士もこれから中小企業診断士試験合格を目指して勉強する人も、将来にわたって需要がある資格なのか非常に気になるところですよね。
どうすれば需要が生まれるかというと、
注意ポイント
「その職業じゃないとできない」
という競争優位性がある状況です。
簡単に言うと誰でもできるような事務仕事はやばいってことですね。
10~20年後には日本の労働人口の約49%は不要になる
野村総合研究所が発表した資料によると、
10~20年後には日本の労働人口の約49%の仕事は人工知能やロボットが代わりに行える仕事になってしまいます。
これは「アメリカ」「イギリス」と比較しても高い数値であり、いかに日本では単純労働が多く、効率化されていないかがわかります。
ちなみに野村総合研究所では
この研究結果において、芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しい傾向があります。一方、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、人工知能等で代替できる可能性が高い傾向が確認できました。
と述べており、
「芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業」や「他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業」は取って変わられる可能性が低いことがわかります。
日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に-野村総合研究所
将来も需要がある中小企業診断士
この資料の中で「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」「人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業」が発表されています。
その中で中小企業診断士は代替可能性が低い100種の職業で見事ランクインしています。
私も中小企業診断士の端くれとして非常にうれしいデータですね。
代替可能性が高い職業の特徴としては、「事務員」「受付」「経理」といったイメージ的には一般職で採用しているような職業が多いです。
今まで一般職を狙っていた女性が、将来の不安から総合職メインに就職活動することが予想され、女性の社会進出がより顕著になるかもしれませんね。
他の士業は「代替可能性が低い100種の職業」にランクインしていない!
なんと中小企業診断士以外の士業はこの「人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業」にランクインしてないです。
他の士業は覚えた知識を駆使して仕事を行います。
それに対して中小企業診断士は覚えた知識で状況に対応して新しい提案をするのが仕事です。
中小企業診断士は状況ごとに違った提案ができる能力があるため、時代が変化しても求められ続けます。
他の士業よりコストパフォーマンスがいいかもしれませんね。
終わりに
これから人口知能やロボットがどんどん強化されていくだけでなく、外国人労働者の流入等からも単純労働は難しくなっていくことでしょう。
そのため、中小企業診断士のような代替が難しい能力を身に着けることで、
何が起きても対応できる「評価」される「将来性」のある「人財」になっていくのではないでしょうか。
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