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中小企業診断士の難易度と合格に必要な勉強時間

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中小企業診断士の難易度と合格に必要な勉強時間

中小企業診断士は日本経済新聞社が行ったアンケート調査の取得したい資格ランキングTOEICを抑えて1位という結果がでている人気資格です。

社会保険労務士や行政書士と違い暗記量で競う資格ではなく、基本的なビジネススキル「考える力」を持っていることを証明する資格なので、人工知能・機械学習などのAIが台頭してきたとしても生き残れると考えられています。

本記事では中小企業診断士の難易度と合格に必要な時間についてまとめました。

 

中小企業診断士試験を受けるメイン層はサラリーマン

中小企業診断士合格者年代

中小企業診断士二次試験の合格率

こちらのグラフは2018年中小企業診断士試験の受験生の年代別に成績を表しているものです。

一目でわかるように30代~40代がメインの受験生です。

働き盛りの年代がメインだということは、つまりサラリーマンがメイン受験生の資格だということです。

その世代がしっかり合格できるということは「働きながら合格できる資格」ということでもありますね。

 

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中小企業診断士一次試験の難易度

中小企業診断士試験は一次試験二次試験口述試験で構成されています。

口述試験については合格率が約99%のほぼ全員が合格する試験なのでここでは取り上げません。

(二次試験の回答について聞かれたことに答えるだけ。何も答えられないということがなければ受かると言われている)

まずは一次試験の難易度について様々な角度から紹介していきます。

 

中小企業診断士一次試験の概要

中小企業診断士一次試験はマークシート方式の7科目からなる試験です。

合格の要件は「総科目の平均が60%以上の得点率かつ40点以下の科目が1つもないこと」です。

 

また、科目によって試験時間が60分90分の科目があります。

なぜか、多くの受験生が悩まされる「経済学・経済政策」「財務・会計」の試験時間は60分です。

個人的には、時間をかけて悩むことで答えが出せる可能性がある「経済学・経済政策」「財務・会計」に試験時間を増やしてほしかったですね…

 

科目 試験時間 配点
経済学・経済政策 60分 100点
財務・会計 60分 100点
運営管理 90分 100点
企業経営理論 90分 100点
経営情報システム 60分 100点
経営法務 60分 100点
中小企業経営・政策 90分 100点

 

一次試験の日程と受験料

中小企業診断士一次試験は毎年8月第一週の土日です。

受験料は13,000円で二次試験は別料金になります。

 

中小企業診断士一次試験の合格率推移

診断士合格率

 

中小企業診断士一次試験は毎年約20%くらいの合格率で推移しています。

ただ、2014年(H26)以降の合格率だけみても、低い年は17.7%、高い年は26.0%と大きくぶれています。

 

一次試験は毎年1科目だけ超高難易度の科目があります

その超高難易度科目が難しすぎて40点以下(足切り)になってしまう受験生もいるほどです。

ギリギリ合格できる実力を持っていても、超高難易度科目のせいで足切りを受ける受験生が多い年は合格率が低い傾向にあるようですね。

 

また、難しくしすぎたために得点調整として受験生全員に加点している年もあります。

2013年(H25)には経済学で+4点、2016年(H28)には経営情報システムで+4点、2018年(H30)には経営法務で+8点の得点調整が実施されています。

 

職業別合格率からみた難易度

申込者数 試験合格者数 合格率
民間企業勤務 11,986 1,988 16.6%
政府系以外の金融機関勤務 1,978 320 16.2%
公務員 633 108 17.1%
経営コンサルタント事業所等勤務 589 79 13.4%
中小企業支援機関 561 57 10.2%
税理士・公認会計士等自営業 555 144 25.9%
コンサルタント以外の自営業 504 73 14.5%
学生 479 47 9.8%
政府系金融機関勤務 367 85 23.2%
独立行政法人・公共法人等勤務 273 43 15.8%
経営コンサルタント自営業 254 22 8.7%
研究・教育 116 14 12.1%
その他(無職を含む) 1,821 256 14.1%
合計 20,116 3,236 16.1%

※数値は2018年のものです

職業別にみた中小企業診断士一次試験の合格率です。

職業によって合格率が大きく変わることはないようですが「税理士・公認会計士等自営業」が25.9%「政府系金融機関勤務」が23.2%と、他の職業よりも高い傾向がでています。

これら2つの職業に共通するのは業務上で「財務会計で出題される知識を使う」ということですね。

 

財務会計は多くの受験生にとって難易度が高く、合格を阻害するとも言える科目です。

中小企業診断士試験では財務会計の知識を普段から使っているというだけで圧倒的に有利だということがわかります。

 

年代別合格率からみた難易度

中小企業診断士年代別合格率

※数値は2018年のものです

 

中小企業診断士試験を受ける層で多いのが30代40代です。

これは30代~40代が企業内で昇進・昇格するために中小企業診断士を目指しているパターンが多いからでしょう。

 

一次試験は科目合格制度がある

中小企業診断士一次試験は科目合格制度があります。

これは合格要件である「総科目の平均が60%以上の得点率かつ40点以下の科目が1つもないこと」を一度で満たせなかったとしても、科目別にみて60点以上だった科目は翌年度以降は受験をしなくて良いよいうものです(MAX2年間)

 

例えば、初回の受験で「財務・会計」「運営管理」で60点以上得点することができた場合、2回目の受験の際には「企業経営理論」「経営法務」「経済学・経済政策」「経営情報システム」「中小企業政策」だけ受験すれば良いという制度です。

 

使い方によっては勉強時間を上手く分散できる制度です。

注意点もありますが、試験まで時間がない人は狙ってみると良いでしょう。

 

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一次試験に役立つ資格一覧!オススメは簿記

科目 関連資格
財務・会計 日商簿記2,3級
運営管理 販売士2,3級
経営情報システム ITパスポート
経営法務 ビジネス実務法務2,3級

 

一次試験の科目ごとに持っていると(知っていると)役に立つ資格をまとめました。

ここで上げている資格はどれも勉強時間が50~150時間で取得できるものばかりですので、どうしても苦手意識がぬぐえない科目があるようなら取得を目指してみても良いでしょう。

 

特にオススメなのが簿記2級です。

簿記2級が生きる財務・会計は一次試験だけでなく二次試験でも必要な重要科目です。

財務・会計で出題される大半の範囲を網羅できますし、簿記2級を持っているということで昇進・昇格や転職時のアピール材料にもなります。

 

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中小企業診断士二次試験の難易度

 

中小企業診断士試験の最大の壁は二次試験です。

一次試験は暗記で点数が取れる問題も多いものの、二次試験は知識の応用ができないと合格することはまず不可能です。

逆に言えば、知識をつなぎ合わせて応用するのが得意な人はあまり勉強時間を費やさなくても合格できるので難易度は低いと感じることもあるようですね。

本段落ではそんな二次試験についてまとめました。

 

中小企業診断士二次試験の概要

中小企業診断士二次試験はマークシート方式の一次試験と違いすべて論述式の試験です。

 

一次試験は7科目ですが、二次試験では「財務・会計」「運営管理」「企業経営理論」が中心に問われるので他の4科目はほぼ一次試験限定の知識です。

二次試験では事例Ⅰ~事例Ⅳという名前ですが、問われる内容は「財務・会計」「運営管理」「企業経営理論」の知識です。

 

事例Ⅰ~Ⅳでは、それぞれ問題に直面している中小企業が取り上げられており、その企業の問題・課題を読み取り助言をする試験になります。

 

科目 試験時間 配点
事例Ⅰ 80分 100点
事例Ⅱ 80分 100点
事例Ⅲ 80分 100点
事例Ⅳ 80分 100点

 

二次試験の試験日と受験料

毎年10月の第四週の日曜日です。

受験料は17,200円になります。

 

中小企業診断士二次試験の合格率推移

中小企業診断士二次試験合格率推移

 

中小企業診断士二次試験は絶対試験(基準を設けそれ以上得点できたら合格)と公表されているのですが、合格率が毎年20%前後から大きくブレないことから実際は相対試験(受験生の上位〇%が合格)ではないかと言われています

 

合格率が20%だと言われると「意外と難易度は低め?」と感じるかもしれませんが、二次試験を受けている人は当然ですが一次試験を通った優秀な人だけが母数です。

一次試験と同程度の数値ですが、見た目よりも非常に難易度の高い試験と言えます。

 

職業別合格率からみた難易度

申込者数 試験合格者数 合格率
民間企業勤務 3,156 629 19.9%
政府系以外の金融機関勤務 444 72 16.2%
税理士・公認会計士等自営業 189 32 16.9%
公務員 169 29 17.2%
経営コンサルタント事業所等勤務 125 22 17.6%
コンサルタント以外の自営業 115 20 17.4%
政府系金融機関勤務 107 27 25.2%
中小企業支援機関 73 10 13.7%
独立行政法人・公共法人等勤務 57 8 14.0%
学生 55 10 18.2%
経営コンサルタント自営業 52 6 11.5%
研究・教育 30 2 6.7%
その他(無職を含む) 406 38 9.4%
合計 4,978 905 18.2%

 

一次試験と同様に「政府系金融機関勤務」は合格率1位ですね。

他に特筆すべき点としては学生の合格率の高さです。一次試験では9.8%だったのが二次試験では18.2%と非常に高いですね。

 

年代別合格率からみた難易度

中小企業診断士二次試験年代別合格率

 

受験者のボリュームゾーンは30代~40代ですが合格率が高いのは20代~30代です。 (※20歳未満は母数が少ないので除く)

これは予想になりますが、会社員経験が長いほど出題された問題に自分の経験を重ねてしまい、中小企業企業診断士として求められる答えが出しにくいのかもしれませんね。

 

二次試験を免除してもらえる養成課程

中小企業診断士試験には養成課程といって、指定された期間参加することで二次試験を免除され中小企業診断士になれる制度があります。

平日休日関係なくカリキュラムが組まれれているので仕事を休職する必要がありますが、難易度が非常に高いとされる二次試験を免除される養成課程は人気があります。

絶対に中小企業診断士として活躍したい人は検討してみてはいかがでしょうか。

 

中小企業診断士合格までに必要な勉強時間は1300時間

 

中小企業診断士に合格するために必要な勉強時間は1,000~1,300時間と言われます。

ただ、どの科目にどれくらいの勉強時間を費やすかは受験生の持っている知識によります。

例えば金融機関や税理士事務所に勤めていたら財務会計の知識はすでに持っていますし、商工会議所に勤めていたら中小企業政策の知識を持っています。

 

そのため、一概に合格に必要な勉強時間を決めることはできませんが、全く勉強したことがない人は1,300時間を目安にすると良いでしょう。

 

注力するのは「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」

中小企業診断士試験の範囲は膨大ですが、勉強時間の大半をつぎ込まなくてはいけない科目は「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」です。

なぜなら一次試験と二次試験の両方で知識が問われる科目だからです。

 

そのため、できるだけ試験直前に「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」を勉強するようにしましょう。

 

「経済学・経済政策」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業政策」は一次試験だけ頑張ろう

「経済学・経済政策」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業政策」は一次試験のみ必要になる知識です。

可能な限り必要最低限の勉強量でクリアしたい科目になります。

 

「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」に比べて重要度が低い科目ですので、免除を利用するなら「経済学・経済政策」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業政策」ですね。

 

数字や試験概要からは読み取れない中小企業診断士の本当の難易度

 

約1300時間勉強すれば合格できるとされている中小企業診断士試験ですが、中には合格に7~10年かかったという人もいます。

その最大の要因が二次試験です。

特に論述形式で資料などを作成する機会がない人は要注意です。

 

一次試験を科目免除制度を使って2~3年かけて合格し、そこから二次試験の勉強を始めると試験に対する考え方を変えるのに時間がかかります。

問われている知識自体は似ているのですが、論述形式とマークシート方式では答えを出すのに必要な理解の深さは雲泥の差です。

私は一次試験は消去法で確実に間違っている選択肢を消して、残ったものを答えにしていたことが多かったので、二次試験は非常に苦労しました。

 

初めて中小企業診断士の勉強を始めた人の中でも、普段どういった仕事をしているのかで難易度は変わってきます

「携わっている仕事で難易度は変わるよ」ということはどこにも書いていませんが、残念ながらこれは事実です。

 

ただ、あなたがどんな仕事をしていても合格できないということはありません

一次試験の勉強をしている時点で二次試験のことを意識し、知識の丸暗記ではなく知識の横のつながりを意識して体系的に勉強するクセをつけておけば二次試験に苦労する可能性は減ることでしょう。

 

↓はスタディング スタディング の学習マップ

 

一次試験の勉強をしながら自分で↑のようにマインドマップの要領で図を作成して全体感をつかんでおくと良いですね。

ただ「マインドマップの作り方が良くわからない…」という人は スタディング をオススメします。

全科目で学習マップがついてきますし、動画講義に力を入れており通勤時間のようなスキマ時間に勉強時間を確保しやすいように作られています。

一からマインドマップの作り方を学ぶよりよっぽど効率的ですよ。

 

難易度に見合った価値はある!「仕事で役に立っている資格」ランキング1位!

 

日本経済新聞社と日経HRが行った、ビジネスパーソンを対象とした調査の結果では、

中小企業診断士は

 

ポイント

「仕事で役に立っている資格」1位

「今後取得したい資格」3位

という結果を残しています。

また、この回答のうち18.6%が資格取得後に年収が増加したと答えています。

その中でも中小企業診断士は上位にランクインしています。

 

仕事で役に立っている資格

 

名だたる資格が並ぶなか、中小企業診断士が1位というのはうれしいですね。

ビジネスパーソンの多くが、

 

取得した上で役に立っていると感じている

or

今後取得したいと考えている

 

ようですね。

この結果ならば難易度に見合った見返りはあると考えて良いのではないでしょうか。

 

中小企業診断士を含む士業難易度ランキング

順位 資格名 勉強時間 合格率
1 弁護士 6,000時間 3%
2 司法書士 3,000時間 3%
3 弁理士 3,000時間 7%
4 公認会計士 3,000時間 10%
5 税理士 2,500時間 10%
6 中小企業診断士 1,300時間 4%
7 社労士 1,000時間 7%
8 行政書士 600時間 7%
9 宅建士 400時間 15%

※数字はCPAから引用

 

「弁護士」「司法書士」「弁理士」「公認会計士」「税理士」「中小企業診断士」「社労士」「行政書士」「宅建士」の9つの士業をランキング形式で難易度に順位をつけてみました。

順位の根拠は「取得にかかる勉強時間」が1番で、それが同じ場合は「合格率」が低い順番に並べています。

並べてみると中小企業診断士は士業の中ではまだまだ難易度が低いほうだということがわかりますね。

 

中小企業診断士に合格した人の中には、さらに追加で資格を取得して専門領域を作り、ビジネスの全体を見渡せるだけでなく、専門的な助言もできるスペシャリストに進化する人もいます。

中小企業診断士を目指しながら、あなたが最終的に目指すキャリアと知識の習得にかかる難易度から、早めに次の目標を考えておいても良いかもしれませんね。

 

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  • この記事を書いた人

鋼の天然水

元金融機関勤務の中小企業診断士。合格までに勉強した時間は約2,000時間。(平均1,200時間で合格できると言われている) 睡眠時間を削ってなんとか合格したが、効率が悪すぎたと感じています… これから中小企業診断士を目指す人には私のように苦労して欲しくありません。 自分のブログに勉強論を書いていましたが、資格GEEKSに誘われ寄稿をすることになりました。

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