幅広い試験範囲で有名な中小企業診断士試験。
その分他の資格試験と出題範囲が被ることも多々あり関連資格だらけです。
本記事では中小企業診断士の勉強をしていれば、特に試験勉強をしなくても同時に狙える関連資格をまとめました。
中小企業診断士はスペシャリストではなくゼネラリスト寄りの資格
中小企業診断士は弁護士・建築士・公認会計士と違い独占業務を持たない国家資格です。
ただ、中小企業支援法において「経営コンサルタント」として十分な能力を有し、中小企業支援を行う者として経済産業大臣が登録する国家資格です。
「グローバル化」「IT化」「人口減少」「高齢化」「消費者嗜好の多様化」などの複雑な経営環境の変化に対応できるように幅広い知識を習得し、1つの場所で輝くスペシャリストではなく、どんな場所でも活躍できるゼネラリストが中小企業診断士です。
日経新聞社が行ったアンケートでは「仕事で役に立っている資格」ランキングで1位に選ばれており、今後も生き残る士業として期待されています。
中小企業診断士の関連資格
中小企業診断士と同時に狙える関連資格は主に4つです。
各資格によって多少難易度にばらつきはありますが、本気で中小企業診断士を目指す人にとっては片手間で取得できる資格も多いです。
もし会社で推奨されている資格が含まれていたら取得しておいても良いかもしれませんね。
簿記
簿記検定は日本商工会議所が実施する公的資格です。
国家資格ではありませんが国家資格と同様に権威ある資格です。
普段会社の数字に触れない会社員だったとしても、企業の財務状況を理解できる能力は重要です。
簿記の仕組みを知るということは企業のお金の流れ(=財務状況)を理解することに繋がります。
資本と負債を対比して示した貸借対照表、利益や損失を示した損益計算書、現金の流れを示したキャッシュフローなどの各種書類により、現在企業が置かれている状況を正確に知ることができます。
また、複式簿記の仕組みを理解し、勘定科目に適切に仕訳できる能力は、公認会計士や税理士としてステップアップする第一段階として重要です。
経理担当者にとっては取得していて当然の資格とされており、お金の流れを知るときだけでなく経営分析にも役立ちます。
このような特徴を持つ簿記は、大手企業や銀行に就職するうえで非常に有利です。
ちなみに、受験級は1級から4級まであり誰でも受験できます。
それぞれの内容は次のようになっています。
受験料 | 試験時間 | 内容 | |
1級 | 7,500円 | 3時間 | 商業簿記、工業簿記、原価計算、会計学 |
2級 | 4,500円 | 2時間 | 商業簿記、工業簿記 |
3級 | 2,500円 | 2時間 | 商業簿記 |
4級 | 1,600円 | 1.5時間 | 商業簿記 |
合格基準は各級ともに70%の得点です。
ただし、1級については1科目ごとの得点が40%以上であることとなっています。
中小企業診断士試験の合格者ならば3級までは勉強しなくても合格、2級は少し勉強が必要、1級は他の受験者同様に勉強が必要。というレベル感です。
ITパスポート試験
IT化社会においてすべての社会人が共通に備えておいたほうが良い、情報処理に関する基礎的な知識を持っていることを証明できる国家資格です。
IT業界で働きたいのなら確実に内容を把握しておきたい試験です。
ITパスポートの対象だと考えられている人は以下に当てはまる人です。
①情報機器及びシステムを把握し活用する人。
②担当業務を理解し、その業務における問題の把握及び必要な解決を図る人。
③情報の収集や活用を安全に行う人。
④上位者の指導のもとに、業務の分析やシステム化の支援を行う人。
受験資格は特に制限なく誰でも受験できる試験です。
試験方法はCBT(Computer Based Testing)方式で随時実施されています。
試験は午前のみ165分で行われ、四肢択一の多肢選択式で100問出題され100問解答します。
合格基準は1000点満点で、総合評価点が600点以上及び各分野(テクノロジ、マネジメント、ストラテジ)別得点が300点以上です。
合格率は平均で約40%です。
合格に必要だとされている目安の勉強期間は、
ITスキルがある人は1~2カ月
完全初心者なら3カ月
中小企業診断士合格者は対策不要
上記の通りです。
いずれにしても、短期集中の勉強で合格できる資格です。
資格取得後に有利な業界は、情報処理産業はもちろん、一般企業や官公庁のITセクション、エンドユーザのIT関連業務など、どのような業界でも能力を生かせます。
販売士
販売士検定は流通業界唯一の公的資格として、一般にも認知されている資格です。
販売士を取得することで販売のスキルだけでなく、マネジメント能力やマーケティング能力など販売に関する広範な知識・スキルを習得できます。
小売業はじめ、多くの企業でこの資格の取得を奨励しています。
資格を取得することで社内での待遇向上も狙えますし、これから就職を目指す人にとっても、自分をアピールする材料として活用できます。
受験級は1級から3級まであり、誰でも受験できます。それぞれの内容は次の通りです。
受験料 | 試験時間 | 内容 | |
1級 | 7,500円 | 200分 | 商品計画、マーケティング、経営計画、財務予測 |
2級 | 5,500円 | 150分 | 専門知識と販促の企画や販売員の指導 |
3級 | 4,000円 | 100分 | 小売店舗経営の基本的な仕組み |
合格基準は平均70%以上の得点で、なおかつ1科目ごとの得点が50%以上です。
1級の場合はさらに面接試験もあります。
目安の勉強時間は各級ともに、
完全初心者なら3カ月
中小企業診断士合格者は対策不要(1級以外)
が目安です。
ビジネス実務法務検定
非常に早いスピードで変化する経営環境の中生き残るには、ビジネスパーソンにとっては法律実務の知識習得は必須です。
いまや法律知識は企業活動を遂行していくために必要かつ重要なスキルとなっていますので、法務部門に限らず、あらゆる業種・職種で法律知識の習得が必要とされます。
ビジネス実務法務検定は実務を行う上で必要になる法務知識が問われる資格試験です。
各級の概要は次の通りです。
受験料 | 試験時間 | 内容 | |
1級 | 11,000円 | 4時間 | 多面的な観点から高度な判断・対応ができる |
2級 | 6,600円 | 2時間 | 実務経験があり外部専門家への相談ができる |
3級 | 4,400円 | 2時間 | 基礎法律知識を有し問題の発見ができる |
あらゆる業界に共通する法律実務の知識であるため、資格取得後はどんな業界でも有利な資格です。
また、ビジネスパーソンにとっては管理部門配属への登竜門ともいわれています。
社労士と中小企業診断士を同時に狙うのはいばらの道
まれに国家資格の社会保険労務士(以下社労士)と同時に中小企業診断士を取得しようとする人がいますがハッキリ言って無謀です。
社労士は合格するまでに1,000時間以上の勉強が必要だと言われている資格試験です。
もし社労士と中小企業診断士の試験内容に被る部分が多くあるようなら同時取得も考えられますが、社労士の内容と被っているのは「企業経営理論」の1部分だけです。
20代の平社員・独身・一人暮らしで周りよりも勉強時間をとることができた私でもなんとか中小企業診断士を取得するのが精一杯でした。
個人の能力によって勉強時間は左右されますが、社労士・中小企業診断士の同時合格はいばらの道でしょう。
また、中小企業診断士だけでも難しい試験なので試験内容正しい理解と効率の良い攻略方法をちゃんと知っておかないとかなり苦労します。
興味はあるがまだ良く中小企業診断士を理解していないという人は「診断士が置かれている状況」「効率的な勉強法・試験科目ごとのポイント」「合格後の活動方法」などがまとめられている資料を1冊読んでおきましょう。
ちなみに、予備校のクレアールが定価1,500円の「 クレアール非常識合格法 」という診断士について綺麗にまとめた良書を期間限定で無料配布しているみたいです。
中小企業診断士に少しでも興味があればこの機会にタダで貰っておきましょう。